【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「ひまさんの友達?」
二人が立ち去ると、ムロくんがその背中を眺める。
「あー、うん。小児病棟の看護師さんと、製薬会社のMRさん。二人とも同じ歳なんだ」
「本当に〝食堂のおばちゃん〟してるんだな」
少し離れたところで周囲の様子を窺っていた先生がムロくんの横に並ぶ。
普段いるはずのない自分の職場に先生がいる光景が無性に緊張を煽ってくる。
「おっ、おばちゃんて! せめてまだお姉さんくらいにしてくれたって……」
愚痴をこぼしながら、炊飯器からご飯を盛り付けトレーに載せる。
チラリと先生の顔を見ると、バチっと視線が重なってしまう。
どうやら私が見るよりも先に見ていたようで、微笑まで浮かべられてしまった。
「食べにくるの、ムロくんだけだと思ってました。まさか先生まで……」
「心細いから一緒に来てほしいってひつこいからな。なぁ、ムロ」
先生にそう言われたムロくんは、「そういうこといちいち言わないでくださいよ」と反論する。
「俺、席確保に先行ってますね」
先に奥へとずんずん行ってしまうムロくんを見ると、心細いようには見えない。
二人になって、先生も後を追うようにトレーを手に取った。
「でも、来て良かったかも」
「え……?」
「いつもと違うひまり、見れたし」