【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
思わずびくりと震え、ガラスを叩いていた手を隠すように引っ込める。
張り付くようにしていたドアから一歩後退して、改めて出てきた人に目を向けた。
顔を上げて見上げてしまうくらい上背がある男性だった。
私の身長が百五十七センチとかしかないから、この差を見ると優に百八十ほどはあると思える。
腿辺りまである着丈の真っ白な白衣と、中はチャコールグレーの上下のセット。
よく自分の職場でも見かける、外科の先生たちが着ているオペ着みたいなやつだ。
どうやら出てきたのは、ここの動物病院の獣医師のようだった。
雇われのドクターだろうか、見るからに若い。
ニュアンスパーマをかけたような黒髪はラフにセットされていて、センスの良さを感じる。
顔が小さく、全てのパーツがバランスの取れた整った顔をしていた。
が、奥二重の切れ長の目が鋭くこちらを見ている。
一瞬、美しい顔立ちに見惚れてしまっていたけど、そのキツい視線に慌てて目を逸らした。
「なんでしょうか?」
開いたドアの向こうから、あからさまに不機嫌な声が掛けられた。