【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛


「あなた、蓮先生のところの人よね?」


こんにちはと挨拶をしようと口を開いたところで、先に質問を繰り出された。


「あ、はい……」

「従業員? でも……」


彼女の視線が、私の持つ買い物後のエコバッグに鋭く注がれた。


「買い物してくるってことは……」

「あ、いや、これはですね……!」


先生に好意のある彼女に、自分が住み込みでお手伝いをしているなんて知られたらまずい。

なんとか適当なことを言って誤魔化そうと頭をフル回転させ始めた時、「あぁ……」と一人何かに納得し始めた。


「家政婦ね」

「へっ?」

「先生のところの家政婦よね?」


なんとビックリ。

私のことを雇われの家政婦と解釈してくれたらしい。

立場的には間違ってはいないけど、さすがお金持ちのご令嬢らしい発想だ。

私だったら、もしかして先生の女?という考えに行き着く。

要するに、あまりに釣り合わないから、そんな心配にも及ばないということだろう。


「それとも、ご兄弟だったり?」

「い、いえ……」

「そうよね。それなら昔から見かけているはずだもの」


今日も足元には、この間連れていたプードルちゃんが一緒にいる。

ウロウロとしだすと、大人しくしてなさいと言わんばかりに六渡寺さんはリードをビンと引っ張った。

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