【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
動物たちの未来を変えようと奮闘する先生に心打たれながらも、目の前で声を上げるこの子たちをここに連れてきた見えない元飼い主たちに憤りは爆発しそうになっていた。
この現実から、決して目を逸らしてはいけない。
「私にも……何かできませんかね。先生みたいに、一匹でも多く動物たちが助かればって――」
悲しんでたって何も始まらない。そう前向きに心を動かし始めた時だった。
見て回っていた動物たちの部屋の中で、私の視線が釘付けにされる。
言葉を途中で失った私に、「どうした?」と先生が声をかけた。
「あの子……あのハートの子……」
綺麗に手入れされた白い身体に入る、淡い紫色のハートのアート。
間違いなく、あの六渡寺さんが連れていたラブリちゃんというプードルだ。
どうしてここに入れられているのかと、パニックを起こしそうになる。
横で先生が「そういうことか……」と呟いた。
「え……? そういうことかって、どういうことですか?」
「今まで何度か連れてくる犬が変わってる。まさかとは思っていたが、手放して新しいのを飼っていたとはな」