あなたへ
「はぁ…」
ふとんくんにラテアートを作ると約束した日から約1ヶ月が経とうとしている。
相変わらずふとんくんは週に1度しか喫茶店にやって来ない。
私は毎日のようにふとんくんの声を聞いて、顔を思い浮かべるというのに
きっとふとんくんにとって私は喫茶店のバイトの子
という認識だろう。
いつの間に私は毎日でも会いたいと思うようになったのだろう。
「どうしたの?瑠梨」
美結が私の机の前の椅子に腰掛けながら話しかける。
今は放課後。
私が帰る準備をせず頬杖をついてため息をついていたからか、心配したのだろう。
「…もしもの話だけどさ…」
私は口を開く
「うん」
美結は何も言わず相槌だけ打ってくれる。
「自分は相手のことをよく知ってるのに、相手は自分のこと村人Cくらいの認識だったら悲しくない?」
「…まぁたしかに」
「しかも、週一くらいしか会えないんだったらもっともっと悲しくない?」
「そりゃ、ね」
「っはぁぁ…」
そこまで言うと私は深いため息をつく。
「……あんた、恋してんの?」
美結のその言葉に驚く
「へ?私が恋…?ないない!」
私は全力で否定をする
「…そう?」
美結はなぜか納得が行かないような顔をする
「恋愛なんて、私には向いてないよ」
「恋愛に向き不向き関係ないとウチは思うけどね」
そんな事を言う美結。
「……もしかして美結が恋してんじゃない?」
「あれ、バレた?」
「うっそ!?誰!?」
「言ってなかっけ?もう付き合ってるよ」
なんて言いながら立ち上がり荷物を持ち歩い出す。
「いやいやいや!聞いてない!!って、ちょっと待ってよー!!」
私もあとを追いかけるように走り出す。