あなたへ
美結の恋愛話を聞きながら帰り道を歩く。
話を聞いてれば、それっぽい事を言っていたような気もする。
「前までは適当に受け流してた感じするのに、どんな心境の変化?やっぱ気づかない間に恋でもしてんじゃない?」
「それはさすがに…」
「うーん…」
美結が唸っている。
「…さっきの話から思うに、気になる相手は喫茶店の従業員かお客様?」
「えっ…?」
「ほらさっき、こっちは知ってるのに相手は瑠梨の事を詳しく知らない〜とか、週一しか会えない〜とか話してたじゃん」
「そうなのかな…?」
「恋ってまではいかないけど、似たような感情を抱いてんじゃない?もしかしたら」
似たような感情…。
「知らないうちに気になってました〜、気づいたら好きでした〜みたいやつ!?」
「そんな感じ」
まじか…。
ふとんくんに対して向けてる好きって感情は…憧れの好きではなく、恋愛…?
いやいや、そんなまさか。
「勘違いだって」
つい、言葉を漏らす。
「まぁ、ウチが決めつける事じゃないけど。絶対に譲れない何かを抱いたなら確実に相手に伝えるべきだよ。これはウチからのアドバイスね」
「心に留めておきます」
美結からのアドバイス。
美結はいつも私が困ったり悩んだりする前に何かアドバイスを残してくれる。
そして、そのアドバイスが後々役に立つ。
美結は本当によく出来た子だ。
そんな事を話しながら、私たちは家までの道を歩いた。