あなたへ

家に入るとお母さんは洗面台からタオルを持ってくる。


「瑠梨、あんたはパジャマから着替えてらっしゃい」


お母さんのその言葉にハテナが浮かぶ。


「パジャマ…?」


そう言いながら自分の服を見る。


「うわぁ!?」


パジャマを着ていた。


パジャマというより、中学の頃のジャージ。


恥ずかしい。


バッと隣にいるふとんくんを見る。


「…」


ふとんくんは何も言わずニッコリと私を見ている。


「なんで教えてくれなかったんですか!」


恥ずかしさのあまり意味のわからない事を口にする。


「ごめんっ、部屋着なのかと…僕も部屋着は学生の頃のジャージだし…」


なんということだ……


ふとんくんの部屋着はジャージなのか。


「まぁ…別にいいですけど…」


思いもよらない情報に内心大喜びする私。


そのまま私はお母さんからタオルを貰い拭きながら着替えようと自分の部屋へ向かった。


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