あなたへ
あの後は特に何も会話もなく、いつの間にか雨も止んでいた。
「それじゃ、お邪魔しました。」
洋服も乾いたみたいで、着替えて家を出たふとんくん。
貸した服はお母さんの好意で洗わなくていいと言って回収していた。
ほんの少しだったけれど、ふとんくんが我が家にいた。
ソファーに座って紅茶を飲んでいた。
もし一人暮らしだったら座っていたソファーの上に座り、飲んだカップを飾って眺めていただろう。
「いつからこんなに気持ち悪いオタクになっちゃったの…」
自分で自分が怖くなる。
部屋に戻った私は、早く明日にならないかとワクワクしていた。
「文化祭…」
呼んでよ。と言ってくれたふとんくんを思い出す。
「夢じゃないよね?」
自分の頬をつねったり叩いたりする。
「…痛いから夢じゃない」
ふとんくんが。あのふとんくんが。
もしかしたら文化祭に来る。
「ふふっ」
つい、笑みが零れてしまう。
この感情が恋愛だってことに気づくのは
もう少し先のお話。