あなたへ
「…り……瑠梨!」
「……へ?」
「朝からずーっと上の空だけど、大丈夫?また悩み事?」
「いやぁ…悩み事っていうか…幸せな悩み?」
「あんたが元気そうで何よりだわ」
「えへへ」
幸せそうにニコッと笑う私を見て美結はため息をつく。
「何があったのか話してみ?」
何が心配なのか、美結は隣に座って話を聞こうとする。
今は休み時間。
私はお弁当を広げながら話をする。
「憧れの人が文化祭に来るかもしれなくて」
「…は?」
美結はポカンと口を開ける。
「まって、あんたの憧れの人ってさ…ふとんくんでしょ?」
美結はそう言う。
「うん!そうだよ」
「まってまって。理解ができない」
そりゃそうだ。
あんまりこういうのは言わない方がいいのかも知れない。
いや、絶対言わない方がいい。
でも…
「美結には言っておきたいと思って。聞いてくれる?」
私は素直に美結に全て話す。
美結は驚きながらだけど黙って話を聞いてくれた。
ライブの翌日からふとんくんが喫茶店の常連客になってる事。
来る度に親にバイトに来いと言われる事。
日曜日にふとんくんに会って家にあげた事。
そして、文化祭に来るかもしれないという事。
本名等に関しては話さなかった。
さすがに個人情報…だしね。
「なるほどなぁ」
そこまで聞くと美結は口を開く。
「てことは、瑠梨の好きな人って…。いや、なんでもない」
「??」
「瑠梨が気づくべきだと思うから…ウチは何も言わない」
「そっか」
「でも、なんか漫画みたいだね」
「私もそう思う…こんな事ってあるんだね」
「色んな偶然が重なって出来た今なんだろうね」
「なんか…美結かっこいい事言うね?」
「え、やめて恥ずかしい!事情はよく分かったから。早くご飯食べて」
「あ、うん!」
ご飯を食べた後はHRが待ってる。
まだまだ先だが、文化祭についての話し合いだろう。
私は急いでご飯を食べた。