あなたへ

「えー、体育祭が終わったばかりですが、夏休みが明けた頃に文化祭があります。早いとは思いますが早速…」


学級委員が話を進めていく。


どんな文化祭になるんだろう…。


「なにか案がある人は挙手して言ってください」


そう言うとみんながざわざわし始める。


あちこちから様々な意見が飛び交う。


「喫茶店なんてどう?」


喫茶店か…。




ふとんくんが喫茶店の店員だったら…。


きっと素敵な服に身を包んで笑顔で接客してくれるに違いない。


ふとんくんは身長が高いからウエイターの服がきっと似合う。




「いやいや、喫茶店よりもお化け屋敷でしょ!」




お化け屋敷…。


ふとんくんとお化け屋敷…。


お化けが怖くないわけでは無いが


ぎゃあぎゃあ騒ぐほど怖いわけでもない。


でも…


ふとんくんとお化け屋敷に入るなら女の子らしくちょっとキャピキャピしていたい。


ふとんくんはちょっとSっ気があるから脅かしたりするかもしれない。


いや、でも。


案外ふとんくんは怖いものが苦手。


強がってるふりして小さな物音にも驚いちゃうかもしれない。




「男女逆転のコンセプトカフェなんてどう!?」




男女逆転…。


つまり男が女になって、女が男になるっていう…?


ふとんくんが女装…。


顔立ちが整っているので、きっと女装したら美しい女性になるだろう。


きっと本当に女性なんじゃないかと勘違いしちゃう人が出てくるかもしれない。




なんて素敵なんだ…。


ふとんくんが同じクラスだったら、なんて考える。


そう考えただけで頬が緩んでしまう。


「ふふふ…」


つい、声が出てしまう。


「…佐々木さん?どうしたんですか?」


相当おかしな顔をしていたのか、学級委員に心配される。


「いえいえ!!大丈夫です!」


危ない…。変な事ばかり考えるからだ…。


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