あなたへ




























帰り道、私と美結は文化祭について話をしていた。


「美結は文化祭、やっぱり彼氏とまわるの?」

「うん。2日間のどっちかは一緒にまわろって話をしてる」

「リア充め〜!」

「はやく瑠梨も恋愛すればいいのに…」

「私はふとんくん一筋なんです〜」

「じゃあ、ふとんくんと付き合えば?」

「え?……いやいやいや!ありえないから!」

「そう?お互い顔も名前も知ってる身なんだから可能性はあるんじゃない?」


いきなり何を言い出すんだ…。


「そんなんじゃないって!」

「だって、文化祭だって誘ったんでしょ?」

「来てくれるかは分かんないけど…」

「1日だけでも来てくれるなら、ウチはその日に彼氏とまわるよ」

「ほんとに!?」

「来てくれるなら、ね」


来てくれるなら…。


もし来てくれるなら2日目がいいなぁ…。


「2日目の後の後夜祭で告白したら結ばれるっていうジンクスがあるもんねぇ」

「私の心読まないでくれます?」

「ごめんごめん」


悪いと本気で思ってなさそうな陽気な声で謝られる。


「しかも!告白しないから!」

「あーほんと?」


美結が変に恋愛に持っていくから、変に意識してしまう。


「ほら、家着いたよ。また明日ね?」


いつの間にか家に到着していた。


「うん、また明日ね」


考えてても答えなんて出てこない。


なら今は目の前の事に集中するだけ。


私は鞄を持ち直して玄関に入った。
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