四つ脚の絵書き歌
おれは思わず狼狽えた。
勿論、おれにも分かる鳴き方を何故こいつが知っているのかという疑問はある。
だがその前に。
こんなにも愚かな敵を見たのは今までで初めてだ。
目を逸らすなんて。愚かにも、脚の1本を無駄にしようとするだなんて。
しかも、先ほどの鳴き声と言い、こいつはおれが助けてくれると本気で思っているのだろうか。敵であるおれに何故救いを求めてくるんだ。訳が分からん。
相棒が警戒の声をあげた。
「信用するな、構わず噛み殺すぞ。なんなら、俺がやろうか?」
言われるまでもない。敵を信用する理由などどこにもない。
軽く手を上げ、飛びかかろうとしていた相棒を牽制する。
「お前がやるまでもない。おれに任せろ」
相棒に向かって言ったのに、敵は驚いたような顔でこちらを見上げてきた。
「ほ、他にも誰かいるのっ!?大人の人!?」