四つ脚の絵書き歌
おれ達の塒に、気絶した敵を運び込む。
首筋に歯形がついたそいつを、少しだけ観察してみた。
おれと非常に似ている。
まず、皮膚から生える毛の数がどうも乏しい。頭部にはそれなりに生えているが、それ以外はほぼ剥き出しだ。強靭な皮膚を持つ訳でもなく、地面を引きずり回したせいかあちこちに引っ掻いた痕が出来ている。
鼻を近づけると、敵特有の臭いがした。それから、何かの香り。どこかで嗅いだことのある、いい匂いだった。
丸メガネをかけている。今はずり落ちて片耳になんとか引っかかっている。つまり、こいつは目が悪いということだ。