俺らの本
「そうだよ!美人だし、優しくていつもニコニコしてるから先生にも人気で、委員長もしてるんだよ。」


葵が未だ興奮気味に話をしてるが、全くピンとこない。


まー、学校一番の情報通と呼ばれる葵だから、全部本当のことなんだろうが。


あいつが人気者?


いつもニコニコしてる?


あんな睨みつけてたヤツがモテるとは、信じられねーな。


そういえば、どんな顔をしてたっけ?


あの女の顔を思い出そうとしたとき、似ていたキーホルダーを思い出した。


何であのキーホルダーを思い出すんだよ。


我慢できずに、思わず吹き出してしまった。


「た、大ちゃん!?どうしたの!?」


さすがの葵も、突然のことに驚いた顔をしている。


「い、いや。思い出しっふはははは!」


なかなかあのキーホルダーが頭の中から消えず、やっと笑いが止まった頃には、遠くに学校が見えていた。

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