俺らの本
「いらねーよ。」


「それは残念…あれ?葵、どうかしたのかい?」


歌が葵の異変に気づき、少し心配そうに葵を見る。


当然か。


普段なら今頃、歌と葵があいさつ代わりにハイタッチをしているが、今日はまだしていない。


きっと俺の言葉が原因だろう。


俺らが葵を見ていると、気づいた葵がハッと前を向く。


「あ、歌ちゃんおはよう!!ちょ~っと考え事しててさ。とりあえず教室に行こうよ。」


「ムリしすぎないでよ。ま~、ここに突っ立っても邪魔だし、行こうか!」


そう言って、靴から学校用のスリッパに履き替えて、歩き始める。


廊下を歩いている途中、すれ違った生徒たちが、俺らを見て何かを言っていた。


いや、あれは俺に対してか。


そいつらをチラリと見ながら、歩き続ける。


「そうそう、歌ちゃん聞いてよ!さっき大ちゃんが久しぶりに女子と話したんだよ!」

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