カクテル紅茶館の事件簿録

「私は諦めたんじゃない!でも仕方ないじゃん!

どうしたって私の親はパパとママなの!

大好きなの!裏切りたくないの!

落胆されたくないの!でも音楽も好き!

諦められない!

距離を置こうとすればするほど頭の中を占領される!

だから!あんたに譜面をあげたんじゃない!」

少女はさっきまでの澄ました顔を脱ぎ、大きな瞳に薄く膜を張って言い切る。

その姿はなんだかとても格好いいと思えた。

「そうか、あの譜面はお前のだったのか」

本気で言ってるのだろうか?

男は今更になってそんなことを言った。
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