カクテル紅茶館の事件簿録

「あれは私の全て。

私に力をくれた音楽に感謝を捧げるために作った曲。

だから演奏する側も聴く側も優しくなれるように音に落とした。

でも題名はないの。

名前をつけてしまったら手放せないもん。

後なんだって?どうして俺にくれたか?

そんな決まってるでしょ!

私はあんたの音に惚れてるの!」

男は少女からの突然の告白に耳を真っ赤に染める。

それでも視線は外さず真っ直ぐに少女を見つめ続けている。

「そんなの言われなきゃ分かんねえよ……」
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