カクテル紅茶館の事件簿録
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空はすっかり暗くなり、灯る街灯が目に眩しく写る。
「二人とも格好良かったね」
「うん、格好良かった」
あの後男と少女の間で交わされた言葉は二言だけだった。
『俺がこの曲を有名にしてお前を奪いに行ってやるから精々生ぬるい人生を送って待っとけ』
『やれるもんならやってみせてよね』
たったそれだけ。
その二言を交わすと詳しいことは何も話さず、少女は家に向かい男はまたギターの音を響かせ始めた。
「ヌイ?」
「何?どうかした?」