カクテル紅茶館の事件簿録
カクテル喫茶店〜閉店
季節は繰り返し、ヌイと出会ってから二度目の秋が来た。
カランコロン。
カクテル喫茶にはいまも心地よい鈴の音が鳴る。
「タマちゃん、早く早く」
「待って。いまエプロンするから」
一年前と違うのはその鈴の音が鳴る回数が何倍にも増えたことだ。
親子が再会を果たしたあの日から一ヶ月後、ヌイのお母さんは葵を連れて自分の生まれ育った家に帰ってきた。
それから親子は考えた。
その結果生まれたのがいまのカクテル喫茶店。
そこには赤ちゃんから年寄りまで幅広い年齢層のお客さんが訪れる。