夜の庭園ー少女たちの消える庭ー
「そうだね」と容子は小さく答えました。

この話題に気が乗っている様子はまったくありませんでしたが、返事が返ってきたことに手応えを感じた私はその話を続けることにしました。

「事故とか家出とか、誘拐とか言われてるけど、ほんとはどれなんだろう」

「さあ......」

「ねえ、そういえばこの学校、15年前にも女の子がいなくなったことあるんでしょう?」

容子は少しの間を置き、「知らない」と乾いた声で答えました。

てっきり容子は「夜の庭園」の噂の大元まで知っていると思っていたので、少し意外でした。

「あったんだよ。その子、今も見つかってないんだって」

容子に教えながら、自分が口にした「今も見つかっていない」という言葉の闇の深さにぞくりと背が震えました。

怖い、こんな話をしちゃいけない。

そう思う心とは裏腹に、私は一人でしゃべり続けます。
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