夜の庭園ー少女たちの消える庭ー
「もし誘拐だとしたら、同じ犯人かな。
その犯人は15年も捕まらずにこの町で暮らしていて、これから先もまた女の子をさらうのかな」

頭の中に「誘拐犯と少女」のイメージが浮かんできます。

ひょろりと背の高い影と、影に手を引かれた少女のランドセルを背負った後ろ姿。

影は異界へと少女を連れ去る。

もしかしたら異界へと通じる裂け目は、この夕闇に包まれた道の先にあるのかもしれないーーー。


「やめてよ」


容子の遮る声に、私は我に帰りました。

「そんな話、エリちゃんらしくない」

突き放すような冷たい声でした。

ぞくぞくとした恐怖の中に暗い快感を覚えて浮き立っていた心が、スっと冷静さを取り戻しました。

私はそこでようやく、「行方不明」という不気味な現象に強い好奇心を持っている自分に気付きました。
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