夜の庭園ー少女たちの消える庭ー
花壇の中を走っていると、急に辺りが暗くなりました。

視界がきかなくなり、私は足下の何かにつまづいて盛大に地面につんのめりました。

あわてて起き上がり、そこでふと後ろを振り返りました。

そこにはバラのアーチがあり、その向こうには月光に照らされる庭園がありました。

私は自分の頭上を見上げ、暗い周囲に目を凝らしました。

私がいるのは、闇夜に沈んだ校舎裏でした。

気づかないうちに「バラのアーチ」をくぐってこちらの世界に戻っていたのです。

荒い呼吸のまま地面にへたりこんで動けない私の視線の先で、アーチに巻き付いていた赤いバラがなぜかどんどん小さくなっていきます。

萎れているのだ、と気付いたときにはもう手遅れでした。

緑の蔦はカラカラに枯れ、花は萎れきって地面に落ち、アーチの向こうに見えていた景色は照明を落とすように暗くなりました。

庭園から漏れていた月光が消え、校舎裏は完全な闇に包まれました。
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