夜の庭園ー少女たちの消える庭ー
「『夜の庭園』のことを誰から教えられたのかを他言してはいけない。
そのルールを破れば、庭園からの迎えは来なくなる」。

そのルールの本当の意味に、私はすでに気付いていました。

そしておそらく、あの日の帰り道の容子も。

ルールを破れは迎えは来ないというのなら、容子はさっさと私にその名を教えてしまえばよかったのです。

それをしなかったのは、自分だけでなく私まで「影」のターゲットになることを恐れたからです。

あのルールは、魔物のためのルールなのです。

連れ去ろうと狙いをつけた子供が、魔物の正体を周囲に漏らすことのないように設けられたルール......。

容子は私を守ろうとしてくれたに違いありませんでした。
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