夜の庭園ー少女たちの消える庭ー
「いい加減にしてよ。興味ないよそんなの」

冷たく言い放ち、もう容子を置いて帰ってしまおうかと思ったその時、表から誰かがやってきました。

「おや、君たち......」

枝切りバサミを片手に歩いてきたのは、校長先生でした。

校長先生は笑った時のシワだらけの顔が親しみやすい、優しい先生でした。

まだ老人という年ではないはずでしたが、真っ白な髪のせいで「おじいちゃん先生」と影で呼ぶ子もいました。

校長先生は、児童立ち入り禁止のはずの場所にいる私たちを見て白い眉をしかめました。

「ここは入っちゃいけないだろう。早く帰りなさい」

「ごめんなさい」

私は気まずい思いで、この場を立ち去ろうと容子に目配せしました。

ところが容子は、「先生!」と嬉しそうに声を上げて校長先生にかけよりました。
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