夜の庭園ー少女たちの消える庭ー
「先生、何するの?それは何?」

「あ......ああ、林の枝が校舎の窓に垂れかかってるからね。切っておこうと思って......」

馴れ馴れしく詰め寄ってくる容子に、校長先生は戸惑った顔で笑います。

人懐こい容子は大人相手でも怯むということをあまりしません。

そして大抵の大人は、愛らしい容子に懐かれると嬉しそうに態度を和らげるのです。

無邪気な容子はけして計算の上でそうしているわけではないのですが、クラスの女子には「自分がかわいいってわかっててやってる、いやらしい」と陰口を叩く子も多くいました。

私自身、空気を読まない容子の行動は好きではありませんでした。

「容子、帰ろう」

私は容子の腕を引っ張りました。

けれど容子はするりと私の手を逃れ、自分の腕を校長先生の腕に巻き付けました。
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