夜の庭園ー少女たちの消える庭ー
「あのね先生、私たち、夜の庭園の話をしてたの」

「......夜の庭園?」

校長先生は首をかしげ、私は容子の行動に言葉を失いました。

「うん、アーチの向こうにある夜の庭園。
一緒に行きたいねって、エリちゃんと話してたの」

容子が私に笑顔を向け、つられて校長先生も私を見ました。

容子と一緒にされてはたまらないと思い、私は力いっぱい首を振りました。

「違います、6年生にもなってそんな話信じてるなんておかしいって話をしてたんです」

私の渾身の否定に、容子は校長先生の腕に抱きついたまま目を丸くしました。

私はよくも恥をかかせてくれたなという思いで彼女を睨みつけました。
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