いらっしゃいませ

無理に乗せても、いつか…崩れる。

その時の悲しみは…
おそらく、今以上だと思うがね。

積み木が崩れた悲しみと。
大切な友達を傷つけた後悔と。

ハッとして、とわこさんの目を見る女性。


自分の欲に、突っ走らなきゃいられない時も
あるだろうさ。
ただ、今ではないと…思わないかい?


手に入れるだけが、幸せじゃない。
お前さんが、彼を好きな気持ちは
大切にしなさい。
彼を好きになると同じだけ、
自分のことも、好きになれるようにな。

いつ、空からどんな宝物が降ってくるか
わからないんだから。


じっと見つめていた女性が、
ゆっくりと、うなずいた…。


まあ…好きな人がいるのは…
女にとって、幸せってなことさ。

何歳になってもね?と、
チャーミングなウィンクをした。

今度は、彼の好きなとこを聞かせておくれ。
若い子の話しは、聞いてても楽しいもんだ。

ニコニコ笑うとわこさんに、
その女性は…

少し吹っ切れたような笑顔を見せた。



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