ラヒの預言書
「まぁ、よい。それよりソルとやら、先程祭壇に置かれてあった巻物を読んでいたな?」
「いいえ!読むだなんて、とんでもありません!!」
「私に……偽りを申してはならぬ」
静かにそれでいて、冷たい低い声が、平伏した頭上から落ちて来た。
ひやりと冷たいものが背中に落ちて、床に着いている手も指先から血の気が引いていくのが分かった。
(一瞬でも気に触れば、命は無い...........)
「だっ大体の教えは学んで参りました。……ですが今までご尊顔叶わず、大変申し訳ございません!見習いの身上、どうか御容赦下さいませ!!」
「………アルツァ、暫く下がっていろ。他の者もだ」
「かしこまりました」
部屋に居た全ての者が出ていくと、静けさが二人を包み込んだ。
「いつまでも床に這いつくばっていないで椅子に座れ。俺は堅苦しいのは嫌いだ。二人で話す時は、かしこまらなくてよい。俺もそうする。無礼な言葉を吐こうが、まぁ、多目に見る……それで、どうなんだ?何て書いてあるか、お前は分かるか?」
「それが...........所々しか分かりませんでしたが、もう少し調べれば…」
「分かるのか!!」
ぱぁっと花が開く様にキルバルに笑顔が広がった。
先程の冷たい威圧する様な声とのあまりの差に、驚いてただ見とれてしまう。
「それならばお前には、これを全て解読してもらいたい」