ラヒの預言書
1.初めての別れ
「待ってっ!!!どこに連れて行くの?!!コルトーを離してっ!!!」
「ソルっ!!」
コルトーが伸ばした手を、必死に掴もうと、手を伸ばすけれど、屈強な男達に羽交い締めにされた身体は、ビクともしない。
バタバタと暴れている内に、どんどんと離されていく。
「お願い離してよっ!!コルトーは、友達だからっ!!」
「はっ?!お前ガロン(平民)だろ?何言ってんだ?彼奴はフジャン(奴隷)だろーが!!庇った所でお前にはどうする事も出来ねーよ!!怪我しない内にさっさと帰んなっ!!」
「コルトーをどうするの?!ちゃんと帰してくれる?」
「さぁな...........デルガに盗みを働いたんだから、無事では済まないだろうな?」
「コルトーは、落とし物の持ち主を捜してただけで、盗みなんかしてないよっ!!」
「俺に言ったって、どうしようも無いさ。決めるのはごデルガ(貴族)だっ!!」
身体を押さえていた腕が少し緩んだ隙に、思い切り腕に噛み付いてやった。
「いでででででっ!!離せー!!このガキっ!!」
吹っ飛ばされて転がりながらも、直ぐ立ち上がって走り出した。
(コルトー...........待っててっ!!今、助けに行くからっ!!)
連れて行かれた方角に、ひたすら走って追い掛けると、一つの立派なお屋敷の前に人集りが出来ているのが見えた。
「あぁ~なんてこった...........まだ子供なのに可哀想な事だよ...........」