ラヒの預言書
5.宮殿生活
天蓋の隙間から射し込む光りに、眩しくて目を覚ますと、ステーシアの声が優しく響いて来た。
「お目覚めでございますか?ソル様。昨夜はよく眠られて居たようで、キルバル様が来られても全く起きなかったとか」
「えっ?キルバル様が来たのですか?」
「えぇ、暫くソル様の寝顔をご覧になって、出ていかれたそうです。お相手をしてくれなかったので拗ねたのでしょう....フフッ…」
ステーシアは悪戯っぽく笑った。
「お相手って…そんなんじゃ...........」
「さぁ、お召し物をご用意いたしました。どうぞ、こちらへ」
通された部屋には綺麗で豪華な衣装や、様々な宝石の装飾品が所狭しと並べてあった。
「今日のご衣装はこちらに御用意しました。何より急なお話でしたので、何かと不足してしまって申し訳ございません。至らぬと思いますが、ご容赦くださいませ。髪飾りなどの装飾品は、こちらに見立てました。如何でしょう?」
「こっこんなの私…着れません!!私は俗世を捨てた神官見習いですので…」
「何をおっしゃっているのですか?昨夜の宴から既にキルバル様の側室候補としてご紹介されたのですよ?側室に相応しい身なりをしなければキルバル様に恥をかかせる事になるのです!」
「そっ側室!?」
ステーシアはソルの動揺をよそに、至って当然の事の様に話している。
次々と着飾られていく中、髪飾りもたくさん用意されたが解読作業に支障が出るからと、何とかそれだけは、最小限にとどめて貰った。