ラヒの預言書
すれ違ったお爺さんが、溜め息混じりにボヤいて通り過ぎる。
「あのっお爺さんっ!!男達に連れていかれた子見なかった?!!」
「あぁ...........今、連れてこられた奴隷の子か?それなら尋問されてるよ。さっきから何を聞かれても、自分はやって無いの一点張りで...........あの調子じゃ、命が助かるかどうか...........」
「そんなっ!!」
野次馬の人集りを、這い蹲る様に掻き分けて、前に進むと、漸くコルトーの声が小さく聞こえてきた。
「私は盗んでなんかいませんっ!!」
「まだ、嘘をつくのかっ!!これ以上、戯言を申すなら、その腕斬り捨てるぞっ!!」
(コルトーだ!!無事だ...良かった!!)
「待って下さいっ!!私も一緒に居ましたっ!!コルトーは悪くないです!!それを拾っただけでー」
人混みの中、声を張り上げるけれど、掻き消されて全く届かない。
それでも、必死に声を上げ続ける。
「聞いてくださいっ!!コルトーっ!!」
(全然聞こえてない、前に行かなきゃダメだっ!!)
大人達の身体を無理矢理押し分けて、少しづつ前に進む。
何度も押し戻されるけれど、掻き分けては身体を捻りこませ、必死に前を目指した。
「...........一体いつまで続ける気だ。罪を認めぬのなら、それさえも大きな罪ではないか.......私が終わらせてやろう.......」
「だっ旦那様っ!!旦那様のお手を煩わせる訳にはいきませんっ!!ここは私にお任せ下さいっ!!」