ラヒの預言書

「いえっ!!滅相も御座いませんっ!!」


(毎日の様に来られたら、緊張するからに決まってるでしょーが!)


「それに何だ、その格好は?服も髪もボサボサじゃないか」


「あの服装は、どうしても煩わしいのです。高い所から本も取り出さないといけないし、裾が長いと転んでしまいます。キルバル様の体面は分かりますが、書斎の中だけは自由にさせて貰えませんか?」


椅子から降りると、跪いて頭を垂れた。


「そうか...........分かった、構わぬ。それに、一々そうやって私に跪くな。二人の時は気を張らずとも良いと申したではないか。私は体面など気にはしない。どんな格好でも良いぞ?なんなら、何も纏わぬ姿でもよいが?」


驚いて顔を上げると、キルバルは意地悪そうに微笑んでいる。


「...ゴホッ!!...........何を言ってっ?!!...........ゴホッゴホッ!!」


「大丈夫か?ほら、落ち着いて水を飲め。」


慌てて噎せ返っている私の背中を擦りながら、席に座らせると、盃に入っている水を口に運んでくれる。


「あっありがとうございます!!...ゴホッ...もう大丈夫です!!」


咄嗟にキルバルに向かって顔を上げると、思いの外近い距離に身体が固まった。

上から覗き込む様に、私の様子をじっと見ている。

この人の癖なのか、目を合わせても微動だにせず、じっと見つめてくる。


< 30 / 90 >

この作品をシェア

pagetop