ラヒの預言書

ソルの顔にまで垂れてくる、銀色のサラサラとした髪が、しきにり頬を擽ると、上品な香のかおりが私を包む様に広がった。

ランプの灯りが、キルバルの宝石の様な瞳を揺らしている。

初めて至近距離で見るギルドラの美しさに、ソルは息を呑んだ。


(なんてゆう美しさ.......まるで........)


「どうした?」


「いえ!別にっ!!」


我に返り身体を離すと、直ぐに顎を掴まれ、上に引き戻された。


「えっ?!」


抵抗出来ない不安と驚きで、今にも心臓が爆発しそうだ。

キルバルは、そんな私にもお構い無しで、そのままゆっくりと、親指の腹で私の下唇をなぞった。


「んんっ!...........キルバル様っ?!!」


「お前...........」


「え?」


「口の周り汚し過ぎだ。...........そんなに急いで食べるな」


「っ?!!!」


恥ずかしさのあまり、真っ赤になった頬を両手で抑え俯く。


(口の周りに食べ残しが付いてた?...........嘘嘘!!恥ずかし過ぎるっ!!!)


「ククッ...........そんなに真っ赤になって、また何を考えていたのだ?いやらしい奴だな…ククッ...........」


「キルバル様が変な事言うからですっ!!からかわないで下さい!!」


「アハハハハッ!!今、怒ったのか?私に怒るとは、お前が初めてだ!!命知らずなっ!!」


「もっ申し訳ございませんっ!!お許しくださいっ!!」


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