ラヒの預言書
ソルとキルバルがいつもの様に戯れている頃、中庭では、部屋付きの侍女達が噂話に花を咲かせていた。
「ねぇ、今までこんなにご寵愛された姫は居なかったわよねぇ?」
「ええ、本当に羨ましい...........」
「キルバル様と夜を一緒に過ごすなんて、心臓が持つのかしら?それも毎日よ?」
「きっと夜は激しいのよ!朝方お帰りの時は、大層お疲れの御様子で、いつも欠伸をしてらして...........御髪も乱れたままだし、きっと一睡もしないで、明け方まで...........」
「キャャャャャーーーーーー!!!」
色めき立った侍女達の悲鳴が上がった。
「想像しただけで、どうにかなりそう~っ!!」
「私も一晩でいいから、召し上げて貰えないかしら...........」
「侍女上がりの側室だって、いっぱい居るわ!私達だってー」
「お前達!!無駄口はよしなさい!!」
「ステーシア様っ!!」
「侍女は、お仕えしている主の話は決して口外してはならぬ事、十分分かっている筈。下手をすればその首が飛ぶ事、分かっているな?」
「はい...........」
「分かったなら、湯浴みの準備をしなさい」
「はいっ!」
慌てた様に持ち場に戻って行く侍女達の背中を見ながらステーシアが呟いた。
「全く...........最近、少し浮ついているわね。もう一度気を引き締める必要があるわね。...........でも、確かにあのお二人は仲睦まじい様子...........フフッ...........あんなに楽しそうなキルバル様は久し振りだわ。きっとソル様のお蔭だわね」