ラヒの預言書
「大丈夫ですよ。ここはソル様のお部屋なのですから。まだお一人で入られますか?」
「はい、すいません」
「謝られなくていいのですよ?ソル様のお好きにお命じ下さい」
「それじゃ先に入ります」
「ごゆっくりどうぞ」
いつも私が安らげる様に、ステーシアは、香りの良い香油をお風呂に用意してくれていた。
「この香り凄くいい匂いなんだよな…」
少しぬるめのお湯に足先を入れると、まるで天国にいる様な気分になった。
ゆっくりと長めに湯に浸かっていると、近くに冷えて美味しそうな飲み物が目に入ってきた。
「喉渇いたな...........飲んでもいいのかな?...キルバル様用かな?いつも先に入って行くから用意してるのかも...........どうしよう」
暫く悩んでみたけれど、飲めないと思うと余計喉が渇く。
「少しくらい...........いいよね?」
注いでみると、透明な桃色の液体が硝子の盃を満たした。
「わぁ~綺麗」
一口飲んでみると、甘く爽やかな果物の酸味が口に広がった。
「何これ...........とっても美味しい」
初めて飲むその飲み物に、すっかり夢中になって気がつけば全部飲み干してしまっていた。
「あぁ~...........なんか、凄くふわふわしていい~気分...........」
湯船に凭れて目を瞑った瞬間、そこで記憶が途切れた。