ラヒの預言書
曝け出されたキルバルの胸に、身体がピッタリと密着し、湯に潜って濡れた髪が、顔に身体に纏わり付いている。
荒い呼吸と滴る水音が、静まり返った風呂場中に響く。
離れれば全て見えてしまう、かといって、くっついたままだと感触が直に伝わってとてつもなく恥ずかしい。
(どうしたらいいの...........恥ずかしくて死にそう...........!!)
「今更恥ずかしがっても、全て見てしまったぞ?」
「変な事言わないで下さいっ!!わっ私、直ぐ上がりますから、目を瞑っていてくれませんか?」
私の問いには答えず、キルバルは傍らにあった花びらの籠を取ると、一気に湯船に撒き散らした。
水面が色とりどりの花びらで埋め尽くされていく。
「これでよいか?」
「そうゆう問題じゃなくてっ!!」
「何か他に問題があるか?そなたは恥ずかしいのであろう?今は何も見えないぞ?」
「んんっ...........」
腰に回された手が不意に身体を滑り、ソルの身体がビクンと跳ねた。
「本当に身体中、赤く色づくのだな...........」
「あの...........私...........行きます...........行かせてください」
意を決してキルバルから身体を離すと、近くに置いてあった衣に手を伸ばした。
「行くな.......」
伸ばした手に覆い被さる様に、キルバルの腕が伸びて来て、熱い体温が背中に伝わると、大きな手がソルの手を包み込んだ。
「キルバル様...........お辞め下さい!冗談が過ぎます!!私は神に仕える身、これ以上は神への冒涜です」
一瞬、キルバルの腕の力が緩んだ隙に、急いで湯船から上がり、衣装部屋に飛び込んだ。
「はぁ...........はぁ...........はぁ...........何?今の...........身体が凄く熱い...........心臓が破裂しそう….......」
動揺するソルの心を他所に、衣装部屋の小さな窓から差す月光は、暗く静まり返った衣装部屋をほんのり明るく照らしていた。