ラヒの預言書

「あっ.......」


「今日はもうよい」


(ちょっと見て欲しかったのに.......)


恨めしく、机に置かれた紙を目で追っていると、杯を用意しに来たステーシアが、その紙を更にまた隣の机に移してしまった。

そんな私の気持ちを知らず、ステーシアは淡々と片付けた机に軽食と飲み物を置いていく。

話す事に悩んだ末、その様子をただ見つめていた。


(なんか急に眠くなって来たかも.......キルバル様も、今日は聞く気も無いみたいだし、早々に切り上げて眠ろう)


「これを飲むと身体が温まり、良く眠れる…飲め」


「はい」


渡された杯には、たっぷりと濃い琥珀色の液体が波打っていた。

口に近付けると、ふわっと鼻を擽る甘い香りに誘われて一口飲んでみた。


「わぁ.......甘くて美味しい。」


「そうだろう?私はそのまま飲むのが好きだが、お前は甘い物が好きだから、少し蜜を入れてもらった。まだいっぱいあるから、好きなだけ飲むがいい」


「はい!いただきます!!」


渇き切った喉はどんどんと、その甘い液体を飲み干していった。

頭を使い過ぎたせいか、甘い物が欲しくて堪らなくなる時がある。

気が付くとキルバルが持って来たその飲み物の半分は、ソルが飲み干していた。


「おい.......ソル?お前こんなに一気に飲んだのか?」


「えっ?何でですか?」





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