ラヒの預言書
「これは甘く造られているが、ただの果実酒ではないぞ?白葡萄から造られている酒だ。酒の中でも濃度が濃い。そんなに一気に飲んで大丈夫か?」
「えっ!!ゴホッゴホッ!!これお酒ですか?!」
一瞬にして、この前の風呂での失態を思い出す。
カァーッと顔に血が上るのを感じる。
(何今思い出してんのっ!!落ち着け私っ!!)
「ほら、取り敢えず水を飲め」
「はっはい!」
「お前はどうして何時もそうなんだ?何でも一気に飲んだり、食べたり、もう少し落ち着いて出来ないのか?」
腕を組みながら、溜め息を吐くと、キルバルは呆れ顔でソルを見ている。
「申し訳ありませんっ!!昔から横着で.......」
「フフッ.......まぁ、よい。そうゆう所も見ていて飽きない。」
「えっ?」
思わず顔を上げると、キルバルは悪戯な笑みを浮かべていた。
たまに見ていた筈の見慣れたその表情が、薄暗い部屋のランプに照らされて、今日はやけに妖艶に見える。
そうなると、益々ソルの動悸は激しくなるばかりで、挙句の果てにはあの風呂場での濡れた髪を掻き上げたキルバルまで想像してしまう始末。
「あの.......私、そろそろ休みます!!わぁっ!!」
慌てて立ち上がって歩み出そうとすると、視界がぐにゃりと変に歪んで、思わずまた座る羽目になった。
クラクラする視界の中、自分の状況を確認しようと背もたれに手を伸ばすと、真近にキルバルと目が合った。