ラヒの預言書
キルバルが朝早く部屋に戻ると、既にアルツァが仕事をしていた。
「おはようございます。流石キルバル様、有言実行ですね」
「全て知っているのであろう?一々嫌味を申すな」
「全てを見聞きした訳では御座いませんので、可能性はあるかと思いまして.......。しかし、その様子に鑑みて.............心中御察しします」
わざとらしく同情の素振りを見せる側近アルツァ。
「黙れ」
「さぁ、気を取り直してキルバル様、朝餉をどうぞ。今日は午後から大臣と神官方とで、祭儀の打ち合わせが御座いますのでお忘れなきよう」
「あぁ、分かっている。母上も出席なさるのだな?」
「はい、その様に伺っております」
「それならば、祭儀中の警備をいつも以上に強固にしなければ.......何があるか分からぬ」
机に置いていた拳に自然と力が入る。
「アルツァ、お前も準備に万全を期せ!朝餉が済み次第、療養中で控えていた皇后様への挨拶に参る」
「御意に」