ラヒの預言書

一方その頃、ソルの部屋では、勘違いしたソルが深刻さを極めていた。


「ステーシア。あまり派手ではなくて、控えめでありながら誠意を表す様な.......清潔感も必要だし.......。う~ん、とにかくキルバル様が好感を持てる様な感じにして欲しいのだけれど.......」


「ソル様、一体どうされたのです?どんな衣でも、ソル様がお召になれば、キルバル様は気に入られるかと思いますが?」


「いつもの感じじゃダメなんですっ!!今日は気合を入れないと!!」


ソルの気迫に、ステーシアは含み笑いを浮かべると、頷いて衣装部屋の奥から一つ衣装を持って来た。


「それではこちらの衣は如何でしょうか?お色が艶やかで殿方がお好きな物かと思いますが」


色は綺麗だが、よく見ると胸元は深く開き、歩くと両脇の裾が別れ、太腿まで見えそうな作りになっている。


「私にはこれはちょっと.......似合わないんじゃ.......」


「そんな事御座いませんっ!!この衣を着れば、世の殿方は誰でも終始笑顔とか!若い姫君や、お嬢様方の間ではとても流行っているそうですよ?」


(え~こんなの着てる人いるの??う~ん.......でも、少しでも機嫌を取った方が許して貰える可能性は高くなるし.......この際恥ずかしいなんて言ってられないか.......よし)


ステーシアは生き生きとした表情で、次から次へと衣装を並べていく。

ソルの質素な軽装に、余程今まで我慢していたと見える。


「分かった!私、挑戦してみる!!だって、命は惜しいものっ!!」


「は?.......命?」


「だけどステーシア、胸元の所少し薄絹で隠してもいい?」


「はい、それは構いませんけれど.......」


「ステーシア!!私、最善を尽くすね!!」




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