ラヒの預言書
部屋に戻るとソルはいつもの長椅子に崩れる様に腰を下ろした。
ステーシアが迎えに来てくれた事までは覚えているが、何処をどうやって帰って来たのか思い出せない。
頭の中は何度も先程のキルバルの言葉と顔が反芻している。
(取り敢えず命は繋がったけれど、あれは一体どうゆう意味だったんだろう......私に対してのただの罰だったのかな.......)
頭は混乱したままなのに、胸は締め付けられる様に苦しい。
「まぁ、ソル様。どうかなさいましたか?」
「.............」
いつもの様に普通に応えればいい遣り取りの筈なのに、なんて返したらいいのか分からず、ついステーシアを見つめてしまう。
「.......まだ、体調が優れませんか?」
「違う.......違うの.......あの方の言葉の意味が分からなくて.......私はどうしたらいいのか.......分からなくて.......」
応えながら、自然と瞳から涙が零れ落ちる。
気付けば子供のようにステーシアにすがり付いて泣いていた。
「ソル様.......」
ステーシアは、幼い子供を宥める様にソルの背中を優しく撫でてくれた。
「キルバル様がお嫌いですか?」
「えっ?」
思いもよらない問い掛けに、ソルは涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げる。
ステーシアはソルの涙を拭いながら、尚も同じ事を問い掛ける。
「キルバル様がお嫌いですか?」
「嫌いとか.......そうゆうのは.......ない.......です。私とは生きる世界が違う御方だし.......」