ラヒの預言書
「あ~水浴びするのに、わざわざ移動しないといけないのかよ.......面倒臭い」
「ガドラン様っ!!私共はあくまで神官見習いなのですよ!!屋敷の様な甘えは許されませんっ!!確りして下さいませ!!」
リロが怒り出すと長い事を知っているガドランは、さっさと着替えると部屋のドアに手を掛けた。
「分かった、分かった。ほら、着替えたぞ?さぁ、行こう!遅れる」
説教を遮る様に部屋を出ると、ゾロゾロと群れを成す神官見習いの群れに加わった。
ガドランの部屋は父親の権力もあってか、二人一組の共同部屋とは違く、特別室の様な部屋を一人で使わせて貰っていた。
侍従のリロは、この部屋から直通出来る隣の小部屋に控えて居るものだから、何かと便利に過ごせる。
本当は共同になる相手も居たのだが、リロがさっさと裏で手を回して準備していたのだ。
狡い様だが、こればかりはリロに感謝だ。
むさい男と狭い部屋に、四六時中一緒に居るのは御免蒙りたい。
「ガドラン様!お待ち下さい!!」
「リロ、この流れに着いて行けばいいのだな?」
「ええ、大丈夫かと。沐浴の庭に続いている道です」
暫く歩いて行くと、廊下は外の庭へと続いていた。
日が昇り始めたばかりで、辺りはまだ薄暗く、遠くの群れの先に灯りを掲げた数人の神官が立っていて、見習い達が到着するのを待っている。
ガドランが到着したのは、中々起きなかったせいか、殆ど最後尾に近く、ガドラン達の集団が着いたと同時に集まったと確認した神官が、大きな声で話し始めた。