ラヒの預言書
「神官見習いの中でも、あれだけ嫌がらせを受けていたんだ。こんな王宮で、何も無い筈がない。すまなかった.......」
「えっ?待って?何か勘違いしてない?別に何もされてないって!!」
「ソル.......もう何も言うな。分かったから.......」
「ちょっとっ!!変な勘繰りをするなっ!!絶対お前が想像している事とは違うからなっ!!」
あからさまに同情した表情をするガドランに、必死に胸に詰め寄って反論する。
「ならば、お前がまだ純潔だとして、この赤い跡はどう説明するんだ?」
「んんっ.......!!」
胸元を人差し指でトンっと押されて、ピクンと反応してしまう。
「ガドランやめろっ!!そんな所触るなっ!!」
「暫く見ない間に、男を煽る方法も身に付けたか?全く許し難いな」
「やだっ!!もういいだろ?!離せってばっ!!うわっ!!」
ガドランと揉み合っていると、急に身体が宙に浮いて、ありとあらゆるソルの装身具が煩く音を立てた。
「こんな所で何をやっているのだ?」
「あっ!!キルバル様!!」
気づけば腰を抱かれたまま、ガドランから離されている。
「.......キルバル.......様?」
「お前.......見た顔だな?メドゥロの者だろう?何故許可も無くこの庭に入っている?」
ガドランはいつの間にか地面に膝を着き、頭を垂れて
伏していた。
「申し訳ございません殿下。私はメドゥロ家次男ガドランと申します。この度、月祭儀の仕事を任せられまして、今日参った次第でございます」
「それと、この庭に入った事は何の関係も無い」
冷たくぴしゃりと言い放つキルバル態度に、その場が凍りつく。