ラヒの預言書
「そうだ!!」
「なんて事をっ!!囲われるとゆう意味をお分かりですかっ?!!しかも王宮の一角なら、そこは王族の誰かの宮の御人ですっ!!遠くから見るだけならまだしも、話をし、抱き締めたなんて、誰かに見つかったら、どんな仕打ちを受けるかっ!!」
「.......既に見つかったわ.......」
「えっ.......」
サーっと一気に血の気が引いて、手にしていた茶器を力無く机に置くと、無作法にもガチャンと音が部屋に響いた。
「.......見つかった.......見つかった.......と?」
「.......あぁ」
「.......ど.......どなたに.......?」
ここまで聞くのが怖い話は初めてだ。
今迄、散々このやんちゃな主人の気紛れの後始末をさせられ続けて来たが、せいぜい貴族の娘止まりで、四大貴族のガドラン様に盾突く者は居なかった。
無駄に外見が良い為、娘の方が勝手にガドラン様に夢中になって、妄想に駆られる事は多々あった様だが。
「.......キルバル様だ」
「ヒッ!!!」
人は本当に驚くと声は容易に出ないものだ。
両手を口の前で覆うと、引き攣った悲鳴は、息を吸い込んでそのまま呼吸が止まった。わ
「.............そっそれは」
当の主人は、その光景を思い出しているのか、不貞腐れた様にそっぽを向いている。
「ガドラン様っ!!なんて事をっ!!.......こうしては居られませんっ!!今すぐ旦那様に文を出さねばっ!!」
「おいっ!待て待てっ!!早まるなっ!!大丈夫だからっ!!」
「何が大丈夫なのですかっ!!キルバル様と言えば、次の国王とまで噂されている尊い御方ではないですかっ!!そんな御方が囲われている女人と、言葉を交わすまでならまだしも、目の前で抱き締めるなどっ!!あぁ~恐ろしいっ!!」