朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
1 見ていて飽きないな
side流夜①
「りゅうと咲桜ちゃんってどうなってんの?」
いつも集まるのは龍さんの店、《白(シロ)》だ。
珍しく吹雪と二人で俺の部屋に来た降渡が来たと思ったら、そんなことを言った。
そして勝手に茶の用意をする幼馴染(ヤツ)。
どうもなにも、
「順調に偽婚約だが?」
仕事あがりの俺は、眼鏡をはずしてローテブルに放る。
学校でかけている眼鏡は顔を隠すための伊達なので、家にいるときは必要ない。
まだ、教職を辞めるわけにはいかないからな。
勝手にテーブルについて、俺の向かいにいる吹雪は愉快そうに話を聞いている。
隣の降渡は「いや」と手を振った。
「そっちじゃなくて。お前らの偽婚約解くためには咲桜ちゃんに彼氏が必要なんだろ? 出来そう?」
………ああ。
「……まだ無理みたいだ」
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