朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
私が恋愛関係に幼いから、だろうか。
自分の気持ちを伝えることで、流夜くんは合わせてくれている。
そんなことが、なんとなくだけどわかっている。
「咲桜……その、無理させてたらすまない」
流夜くんはそう考えてしまう自分を責める。
どこまで甘い人なんだ。
だから、私から抱きしめ返すことで応える。
「……そんなこと、ないよ。私はちゃんと答えてもないのに」
曖昧な形を、また見つけてしまった。
流夜くんはそれでいいと言ってくれたけど。
……今、答えを求めている。自分の中に。
そんな私に、流夜くんはまたささやく。
「……こうして傍にいてくれたら、それだけでいいんだ」
微かな声。
流夜くんの願いを、私は叶えられる人なんだろうか。
もっと相応しい人はいると思う。
私なんかより美人さんで、流夜くんくらい頭がよくて、もっと同じ目線に立てる人は。
………いやだ。