朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「そのくらいでいいの? わかった。絶対逃げない」
「何度も逃げた子が宣言しちゃっていいの?」
「う……遙音くんて昔から少し意地悪だよね」
「少しじゃなくて結構意地悪いよ。そんな奴でもよかったら、友達になってください」
「むしろは底意地悪―ぞ」
「流夜くんは黙ってて」
咲桜に怒られた。
遙音が見せた笑顔は、今まで俺たちが見たことがないものだった。
足かけ六年見守ってきたが、遙音のこんな安心した顔は初めて見た。
松生はそんな遙音の笑い方も知っているのか、苦笑した。
「勿論です。こーんな意地悪い人、遙音くん以外だったら友達にならないけど」
「はは、それは光栄」