朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「で、も。あたしはいいけど、咲桜に意地悪するのはゆるしませんからね」
「そうだなー。咲桜に意地悪するより神宮いじめた方が楽しいからしないことにしとく」
「……遙音くんて結構先生大すきだよね」
「まあね。今はこんなんでも、昔は憧れたヤツだからかなー」
どういう意味だ。
そう言おうかと思ったが、二人の会話に割り込むのも気が引けた。
六年の邂逅(かいこう)。
松生が、遙音が、お互いを憶えていたからこその再会。
お互いに忘れられない存在だったのだろう。
咲桜は静かに松生の傍を離れて、俺の机の近くに立った。
見上げると、微かに微笑んでくれたので、同じように返す。