朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「なんか咲桜って笑満ちゃんの彼氏みたいだよな」
「でしょう。咲桜はカッコいいんです。……でもね、遙音くん。最近流夜くんのことでかなり乙女になっちゃうんだよ。どう喝入れればいいと思う?」
「そうなの? だったら神宮を攻撃しない?」
「お前ら密談はもっとこっそりしろ。……それから、悪いが松生の彼氏じゃない。咲桜の彼氏は俺なんでな」
堂々と、丸聞こえな音量で話す二人に注意した。
そして釘もさしておく。
急な俺の言い方に咲桜は泡喰って止めようとするが、無論、止めはしない。
「え……彼氏?」
「咲桜が神宮の?」
遙音が呼んだ順に指を指した。おい。
「逆だ阿呆。お前らには言っておくけど、偽婚約だけじゃなくなるから」
「えっ……えー! 咲桜! 咲桜、本当? 現実?」
松生が素っ頓狂な声をあげると、咲桜は紅くなった顔で俺を睨んできた。