朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
2 だったらそれは、
side流夜②
「日義はいいのか?」
「いいんですよー。あいつまた寝てばかりの癖に一位とか取りやがって。少しは困ればいいんだ」
俺の疑問に、松生は腕を組んで返してきた。
松生は咲桜の小学校来の友人で、もう一人日義頼といつも三人でいる。
松生は咲桜から、俺との偽婚約を聞かされて以来素の方でも知った仲だった。
俺は手元の本に目を落としたまま続ける。
「咲桜は?」
「日直の仕事です。でもすぐに来ますよ。流夜くんに逢いたがってたから」
松生の声がにやついている気がしたが、気にしない。
「珍しいな。咲桜と松生も一緒に来そうなのに」